2022-09-05
日常生活が豊かになるにつれて、私たちの生活に深く関り出した人工知能(AI)ですが、思い返すと、2016年に全世界に衝撃を与えた、人工知能の囲碁プログラム「AlphaGo」がプロの棋士に勝利したというニュースからその大きな変化が始まったように感じます。
この、機械が人間に勝利したというニュースは様々な領域に衝撃を与えました。
いままで当たり前のように人間が行っていた仕事が機械に代替される時代がきて、人間と会話し意思疎通する機械が現れ、中には機械が人間を支配する世の中がくるのではないか、という説も生まれたほどです。
そんな衝撃の出来事の根冠にある技術にディープラーニングというものがあります。
AI,ビッグデータ、機械学習といった耳に馴染みのある言葉と同様に、ディープラーニングという言葉もまた、耳になじみのある方が多いことでしょう。
しかし、ディープラーニングとは何なのか、それによって私たちの世の中がどう変わっていくのかは正直理解できていないという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、そんな方に向けて、今後のAIの発展には欠かせないディープラーニングという技術に関してわかりやすく解説をしていきます。
とはいえ、新しい技術を理解しようとすると、難しい言葉が多くなって、わからない事を知る過程で、さらにわからないことが増えてしまうのでいつも挫折してしまうという方もいるかと思います。
その為、本記事では平易な表現と具体例を用いて、一読した後に、明日からの会話で利用できる程度に噛み砕いた紹介をしております。
是非あれこれと想像を膨らませながら読み進めていただけますと幸いです。
それでは早速ディープラーニングという技術について解説を進めていきます。
1.
ディープラーニングとは
2.
ディープラーニングの種類
3.
ディープラーニングでできること
ディープラーニングとは、十分なデータの量さえあれば、人間の力なしに機械が自動的にデータから特徴を抽出してくれる ディープニューラルネットワーク(DNN)というアルゴリズムを用いた学習の事を指します。
要は、ディープラーニングという学習方法にはディープニューラルネットワークという技術が利用されているということで、例えるならば、徹夜暗記方法という勉強方法には記憶力という能力が関係しているというという関係性をイメージするとわかりやすいかもしれません。
より直観的に理解を深めるために、AI、機械学習、ディープラーニングという混同されやすいキーワードを整理することで大まかな理解をしていこうと思います。
上記3つのキーワードの関係性は、大まかにいうと人工知能(AI)というテクノロジーを構成する要素として、機械学習というものがあり、その要素技術としてディープラーニングという技術があるという関係性になります。
上記を図示すると次のようなイメージとなります。
このように、ディープラーニングとは、人工知能の一つの要素技術という関係性になります。ディープラーニングといっても、そのアルゴリズムは種類があり、それぞれ得意分野が異なる為、実際に応用する際にはどのアルゴリズムが適切なのか検討する必要があります。
次に大まかに3つをご紹介していきます。
ニューラルネットワーク(NN)というパターン認識をするように設計された人間や動物の脳神経回路をモデルとしたアルゴリズムを多層構造化したもの。
もうすこし噛み砕いて説明していくと、ニューラルネットワークとは人間の脳のしくみから着想を得た、脳機能の特性のいくつかをコンピュータ上で表現するための数学モデルです。
脳細胞同士は複数の脳細胞と繋がることで複雑な処理を行うことが出来るのですが、その複雑な処理をコンピュータ上でも再現できるように、ニューラルネットワークは考案されました。
その仕組みは、入力層、出力層、中間層(隠れ層とも呼ばれる入力層と出力層の間にある層)の3つから構成されており、この中間層があることによって複雑な計算等が可能となっております。
つまり、ディープニューラルネットワークとは、複雑な演算を可能とする為に人間の脳神経の作りをまねて作られたニューラルネットワークを元に、入力から出力までの間の中間層を多層にすることで、情報伝達と処理を増やし、より精度や汎用性の高い演算を可能にするアルゴリズムというわけです。
畳み込みニューラルネットワークは、数十から数百の層を持ち、それぞれが画像の様々な特徴を検出することを学習し、高いパターン識別能力を有するものです。
画像認識を例に、手書きの「あ」の文字が「あ」の文字であるということを認識するまでの流れから大枠を理解するとイメージしやすいです。
入力のあった画像の特徴を細かく抽出し、抽象化して他の画像との関連を分析して認識を進めていく画像認識に応用されているアルゴリズムが畳み込みニューラルネットワークとなります。
音声、動画データのような可変長のデータを扱えるようにするために中間層に再帰的な構造を持たせた双方向に信号が伝播するニューラルネットワークを活用したアルゴリズムとなります。
音声認識を例に、「きょうはいいてんき」という音声を「今日はいい天気」と認識する流れから大枠を理解するとイメージしやすいです。
入力の合った音声一語だけだと複数の解釈ができてしまうが、一連の意味のあるつながりとして認識すると、どの文字を意図しているのかが推測できるため、過去の出力を入力として対応するアルゴリズムとなります。
ディープラーニングが何かを大枠理解したところで、このディープラーニングを用いてどんなことができるのかをご紹介していきます。
画像や動画を入力とし、文字や顔などの特徴を認識。検出する技術です。背景から特徴を分離抽出し、マッチングや変換を行い、目的となる特徴を特定し認識します。
実際に使用されている例をあげると、顔認証によるタグ付け、自動運転等があげられます。
音声を認識させる技術です。人間の声を認識してテキストに出力したり、音声の特徴を捉えて声を指している人を識別することが可能です。実例を挙げると、iPhoneの「Siri」等の音声入力が挙げられます。
人間が日常的に行う自然言語(書き言葉、話し言葉)をコンピュータに処理、理解させる技術です。実際に使用されている例を挙げると、コールセンターなどでの問い合わせ対応、機械翻訳などです。
産業機械などに取り付けられたセンサーなどの時系列データから、異常の兆候を検知する技術です。実例を挙げると、工場内の異常検知システム等があげられます。
このように今となっては当たり前のように日常生活に組み込まれた便利な機能の裏にディープラーニングが関わっていることがよく理解できるかと思います。
いかがでしたでしょうか。
AIの発展を支える根冠の技術であるディープラーニングがどのようなものか、理解が深まったかと思います。
それでは本記事のおさらいです。
ディープラーニングとは十分なデータから、機械が自動で特徴を抽出するディープニューラルネットワークを用いた学習の事を指し、ディープニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、再帰型ニューラルネットワークといった種類を持つ。
そして、ディープラーニングを応用し画像認識、音声認識、自然言語処理、異常検知などといった私たちの生活に利便性を与える能力を発揮することができ、流通や製造、医療の現場などで活用が進んでいます。
それではここまでお読みいただきありがとうございました。
次回の記事でまたお会いしましょう!